エイティーンポップ
夏に溺れながら夢を見ている
それだけです それだけです
今日も暑いんだな
僕は夏に生まれて 夏風に恋をして
今まで生きてきたんだよ
ずっと太陽を背にして暑さに耐え続け
ここまで生きてきたんだよ
そんな僕は18
ポップミュージック歌うだけ
陽炎が揺らした白い電柱は
僕には大きくて ひぐらしにも大きくて
僕は夏に生まれて 夏風が愛おしくて
連れ込んだ冬の風がそっぽ向いてる
太陽が恋しくて でも暑いのはちょっと嫌で
誰にだって好き嫌いはあるだろう
そんな僕は18
ポップミュージック歌うだけ
僕は夏に生まれて 夏風に恋をして
生まれてから18年が経ちました
あの日生まれてそれ以来頑張って
また今日も夏を生きています
夏に生まれて
夏風に恋をして
精一杯今を生きて
2015/08/14
新宿
都心郊外 路地裏のグルーミー
知らず識らず東京の真ん中一人佇んでいます
あの子は五叉路待ち合わせ
明くる日もただただ笑ってる
嘘ついて嘘ついて嘘ついて 出かけたね
君はもう泡の中でゆらり揺れる
感じたい感じたい 感じていたいよ
この街の呼吸や全て
不確かな世界
メトロ構内 平日のグルーミー
憂さ晴らし夜通しふらふら気持ちは芽吹く
あの子はデパ地下鉢合わせ
人の目を気にして笑ってる
嘘ついて嘘ついて嘘ついて 駆けたね
君はまた始発電車に揺られて眠る
感じたい感じたい 感じていたいよ
この街の鼓動や温もり
イカサマな世界
夜に紛れて船を漕いだら 粗方僕は惨めになって
ふわりふわりと浮かんで消えた 静寂が暈す影は二つ
嘘ついて嘘ついて 嘘ついてしまったね
ネオン街まだあの子を離さないでよ
感じたい感じたい 感じていたいよ
新宿の鳴り止まぬ音を
さよならの先に君は何を見るの
あれそれどれ?指差しじゃ分からないよ
光です そう光でしたあの子が見たのは
全てを飲み込もうとする新宿の光を
都心近郊 東京のグルーミー
あのメロディ頭の中巡り巡る
あの子は無意識のまんまに
知らず識らず足を運んでいた
新宿という名の街に
20152月
白昼夢
いつかきっと共に歩く
そんな話少し懐かしいよね
僕はそうやって歳をとって
降りかかる焦燥を隠せなくて
昔の話だと知っていても
子どもに戻れない
いつも夜明け二人歩く
そんな日々が続く
そう願っていた
いつだってほらそこにあるのは
見え隠れしたあなたの姿で
理由もなく空から落ちた
そんな日々だ
いつかはまた逢えるだろう君と
手を繋ぐ姿忘れる前に
明日になれば終われるのかな
そんな日々だ
僕はそうやって歳をとって
覚めない夢から逃げることしか
出来ずにただ彷徨っているだけ
君とずっと一緒にいられたらなんて
夢のような話忘れてしまって
それでもいいよ手を繋ごうよ
ねぇ
僕は本当に歳をとって
襲う感情が嬉しく思えて
それじゃまたね手を振って僕は夢から覚めたんだ
子どもに戻れない
2013年3月
回想録の手紙
遠くから声が聞こえた
あの鈍色の向こう響いて聞こえた
遠くへと歩いて消えてく
一緒だった人はもう先を歩いていた
最近になって気づいた自分は大した事ない人間だったって事
それ以外は別に興味ないけど
いつの間にか置いてかれている自分に腹が立った 本当に嫌になった
泣き言を言うつもりなど無いし 揺らぐ自尊心は3グラムぽっちで
誰にだってあんだよ 君だけじゃないんだよ
だから諦めないで
まだ諦めないで
さあ行こう あの時と変わらずに
足元見ながら川沿いをずっと
たわいのない日々繰り返しながら今日も
手を握り顰めて
さあ行こう 継ぎ接ぎだらけの絵画を
色づけるように世界を見てみたいな
たわいのない日々才能にペン持たせて
笑ってでも歩こうか
さあ行こう あの時と変わらずに
たわいのない僕だけど
メリアに花を
八月は何度も繰り返し来るんでしょう 巡る草木生い茂って揺蕩うまで過ごした
眺めていた雲が霞んで遠くなった ふわりふらり追いつけなくて佇むだけの僕だ
暮れに揺れた暁と香ばしいコンクリート 日の照る町の中揺らぐ陽炎を見つめていた
淡い淡い記憶の隅に 残る眷顧
灰色の夢
消える消えるプカプカ消える 君の香り泡沫のようだな
八月は何度も繰り返し来るんでしょう 眠る風に朝日の憧憬 浮かぶ雫日焼けた白紙
目覚めていた雲がいつの間にか近くに感じた
晴れた今日に逆さまの蝉
少しだけ悔しくなった
「何度目の夏だろう」
日は翳り、蜩が鳴き、君の姿が途絶える。綺麗な影も風に乗るその香りも
「揺れている、誰のために?」
飾り付けられた髪、風と泳ぐ睫毛。砂の城で遊んだ手、水に怯えた足。
雨と跳ねる肌、幸せを得ようとした目。脆く儚い笑顔、取ってつけたような心臓。
蜃気楼はいつまでも彼女を教えてくれた。
陽炎は揺れる。欺瞞を背負い、記憶を掴む。
届くことのない言葉は次第に口から溢れていく。
夏を殺してしまったあの日に、また戻れたらいいのに。
「だから夏は嫌いなんだ」
辟易とする暑さ、朦朧とする意識。いっそ波と消えてしまおう。この花を手土産に。
水底へと消えてしまおう。綺麗に育つといいな。二人きりを口実に。
「君に似合う花を見つけたんだ」
スカートは揺れる
水面は光、太陽は水平線へ消える。そこにあるのは拙い一つの花と静寂だけ。
暮れに揺れた暁と、残照に飲み込まれた。
「一人じゃないよ」
嫋かに霞む月がいつも水中を照らす。
優良な画廊に飾られていた一輪の花も同じ場面で切り取られた。これで夏は終わりさ。
「素敵な名前だね」
「愛していたよ」
青い青い花弁は風に 吹かれ惑う行方知らずに
光り惹かれ集まり翳る 君の姿泡沫のよう
水中から見る町の隙間
「ユレウク」
淡々と流れる
いつだって底は青く未完成で
「mellia」
一輪手向けた
八月は何度も繰り返し来るんでしょう
八月は何度も霞んで遠くなるでしょう
八月は何度も。
2016/08/27